凱旋門賞とは、ヨーロッパ最大の競走の一つ。
国際的に非常に権威のある競走であり、「世界のトップ100GIレース」において何度も首位に選ばれ、常に最上位に評価されている。

基本データ

開催国フランス
競馬場パリロンシャン競馬場
創設1920年10月3日
G1
距離芝2400m
出走条件サラブレッド3歳以上牡馬・牝馬
負荷3歳56.5kg
4歳以上59.5kg
牝馬1.5kg減
フルゲート20頭

コース



「上り坂」のところは高低差10m、勾配2.4%の上り坂。日本で一番の勾配のある中山競馬場が高低差5.3mなので、ほぼ倍の傾きである。
下り切ったあたりから「フォルス・ストレート(偽りの直線)」と呼ばれる直線が始まる。ここでスパートをかけてしまうと、まだ3分の1くらい残っているので、失速は火を見るよりも明らか。
最終直線は530mで、日本ダービーが行われる東京競馬場とほぼ同じ長さ。

ロンシャン豆知識

  • 「世界で最も優雅」とも言われる競馬場
  • 2015年の凱旋門賞終了後に改修工事が行われた
  • 改修工事終了とともに、「ロンシャン競馬場」から「パリロンシャン競馬場」に改名
  • 第二次世界大戦中、競馬中に爆弾を落とされたことがある

概要

超ざっくり言うと、とにかくめっちゃすごいレースなので、なんとしても勝ち取りたいレースである。
野球の甲子園とか、箱根駅伝とか、武道館ライブとか、そんな感じ。

凱旋門賞と遠征馬

フランスで開催されるので当然フランスの馬が一番優勝しているのだが、移動の少ない欧州勢が非常に強く、欧州調教馬以外の馬が勝利したことはない
優勝経験国はフランス、イギリス、アイルランド、イタリア、ドイツのみ。
連対(2着)はニュージーランド(1回)と日本(4回)のみ。
  • 1977年 バルメリーノ(ニュージーランド)
  • 1999年 エルコンドルパサー(日本)
  • 2010年 ナカヤマフェスタ(日本)
  • 2012年 オルフェーヴル(日本)
  • 2013年 オルフェーヴル(日本)
バルメリーノは所属はイギリスだが、主戦場がオセアニアだったためにニュージーランド馬扱いされている。
エルコンドルパサーは出身はアメリカだが、調教は日本で行われたので日本馬扱い。

日本馬の挑戦の歴史

馬名騎手結果備考
1969スピードシンボリ野平祐二着外
1972メジロムサシ野平祐二18
1986シリウスシンボリM.フィリッペロン14
1999エルコンドルパサー蛯名正義2
詳細
2002マンハッタンカフェ蛯名正義13
2004タップダンスシチー佐藤哲三17
2006ディープインパクト武豊3位入線詳細
2008メイショウサムソン武豊10
2010ナカヤマフェスタ蛯名正義2
詳細
ヴィクトワールピサ武豊7
2011ヒルノダムール藤田伸二10
ナカヤマフェスタ蛯名正義11
2012オルフェーヴルC.スミヨン2
詳細
アヴェンティーノA.クラストゥス17
2013オルフェーヴルC.スミヨン2
詳細
キズナ武豊4
2014ハープスター川田将雅6
ジャスタウェイ福永祐一8
ゴールドシップ横山典弘14
2016マカヒキC.ルメール14
2017サトノダイヤモンドC.ルメール15
サトノノブレス川田将雅16
2018クリンチャー武豊17
2019キセキC.スミヨン7
ブラストワンピース川田将雅11
フィエールマンC.ルメール12
2020ディアドラJ.スペンサー8
2021クロノジェネシスO.マーフィー7
ディープボンドM.バルザローナ14
2022タイトルホルダー横山和生11ちょっとだけ
詳細
ステイフーリッシュC.ルメール14
ディープボンド川田将雅18
ドウデュース武豊19
2023スルーセブンシーズC.ルメール4

1999年 エルコンドルパサー

エルコンドルパサー頑張れ!
エルコンドルパサー先頭だ!

ジャパンカップ後にフランスへ飛び出したエルコンドルパサーは、イスパーン賞(G1)2着、サンクルー大賞(G1)とフォワ賞(G2)と1着で、海外でも日本調教場が戦えることを示す。

そして迎えた運命の10月3日。前日に降った雨の影響で最悪の馬場状態の中、柔らかい馬場を得意とするモンジューが1番人気、それに続いてエルコンドルパサーが2番人気だった。

スタートからエルコンドルパサーは飛び出し、トップに躍り出る。
逃げ馬に着いてく着いてく予定だったが、その逃げ馬が前に来なかったので、蛯名は馬に任せてそのまま先頭をキープした。

最後の直線、後続との差を広げる。ついに欧州以外の馬が凱旋門を獲るのか――そう感じさせたその刹那、モンジューがギアを一段上げる。一気に猛追し、エルコンドルパサーを抜き去った。
エルコンドルパサーも負けじと差し返しに加速するも、ゴール板を先に駆け抜けたのはフランス調教場・モンジューであった。
半馬身およばずの2着、それがエルコンドルパサーの凱旋門賞だった。

今でも泣ける。

敗れたものの、3着と6馬身差をつけ健闘したエルコンドルパサーに対し、現地のメディアも「チャンピオンが2頭いた」と称え、モンジューのトレーナーも「おそらく硬い馬場だったら敵わなかったと思う。あれだけモンジューにとって好条件が揃ったのに、2頭の勝ち馬がいたも同然の結果だったのだから」とコメントを残した。

ウマ娘では…



エルコンドルパサー頑張りました!!

2006年 ディープインパクト

「凱旋門に衝撃が走る」
「世界のディープを見逃すな」


2006年のロンシャン競馬場は、いつもと様子が違っていた。
出走馬がなんとたったの8頭しかいなかったのである。これは史上2番目の少なさであった。
前年の覇者ハリケーンラン、そのハリケーンランとフォワ賞でクビ差2着に迫ったシロッコ、そして日本で無敵の三冠馬ディープインパクト。彼らとの対決から逃げ出す陣営が大変多かったためだ。

現地でもディープの評判は非常に高く、「ついに欧州以外の馬が獲るのか…」との声も多かった。
日本からの応援票も多く、あろうことか日本馬が1.5倍の1番人気に。

その中でスタートした凱旋門賞。
ディープは今までの走りと違う、前目の先行策。
残り400メートル地点で一度先頭に出るが、残り100メートル地点でレイルリンクに、さらにゴール直前でプライドにも交わされて3位入線に終わった。
日本で見せていた化け物級の末脚を欧州に見せつけることなく、彼のフランス遠征が終わった。
ハリケーンラン*1とシロッコ*2はどこ行った?

が、この年の凱旋門賞はこれで終わらなかった。

10月19日、理化学検査で「ディープインパクトの体内から禁止薬物イプラトロピウムが検出された」と、仏競馬統括機関であるフランスギャロが発表。当然失格である。
なお、凱旋門賞で禁止薬物による失格馬はディープインパクトただ1頭

イプラトロピウムは人間にも喘息の薬として身近なお薬。日本でもフランスでも、馬に対しての使用は認められている。ただし、成分が残った状態でのレース出生は禁止されている。
ディープは1か月ほど前に咳が止まらなくなり、同薬を吸引。その際に零れたかなんかして、それが前日にディープにくっついてしまったのでは、とディープのトレーナー池江泰郎は説明した。
また、この件を受けて、日本でイプラトロピウムの馬への投与が禁止された。

違う方向で衝撃の走った凱旋門、世界はディープを見逃さなかったのである。

2010年 ナカヤマフェスタ

遂に!夢は叶うのか!?
頑張れナカヤマフェスタ!
ナカヤマフェスターーー!!

凱旋門賞。それは一流と一流の競演。
日本からの挑戦馬も、ダービー馬や社会現象を巻き起こした馬など、超一流のそれが抜擢されていた。
しかしこの年は大きく異なる様相に。

日本馬の本命はヴィクトワールピサ。皐月賞勝利、日本ダービー3着と実績を残したものの、3歳馬という事で経験が乏しい。
そしてナカヤマフェスタ。2010宝塚記念を制したものの、それ以外のG1勝利が無く、その宝塚も8番人気と知名度がイマイチ。

当たり前のようにナカヤマフェスタが9番人気、ヴィクトワールピサが10番人気。
レースも第三コーナーでに馬群に沈んでいき、「そらコイツらじゃな…」とみんなが思いかけていた時だった。

長い長い最終直線、先頭を走っていたのはナカヤマフェスタだった。マジお前どっから来た???
イギリスの意地と言わんばかりの追い込みでワークフォースがナカヤマフェスタを捉える。
ナカヤマフェスタも脚が残っており、差し返さんと必死の猛追。どんどんと差を詰めていった。
行ける!行ける!勝てるぞ!!ナカヤマフェスタ!!

しかし、先にゴール板を通過したのはワークフォースだった――。
あーーー!ちくしょーーー!あと10mあればなぁ…。


エルコンドルパサーの最終直線と非常に似通った展開になったが、なんと調教師は二ノ宮敬宇騎手は蛯名正義と、エルコンドルパサーと全く同じ布陣
エルコンドルパサーのリベンジを果たすべく、ナカヤマフェスタとともにチームを組み、凱旋門へと乗り込んでいたのだった。

日本調教馬として2度目の連対、日本生まれの馬として初めての連対に、日本と世界が大きく沸き立ったのであった。
日本の凱旋門賞といえばエル!ディープ!オルフェ!で終わりがちだけど、ナカヤマフェスタもマジですごかったからぜひ覚えて!ね!


ほんの少しのところで届きませんでした!

2012年 オルフェーヴル

行け!オルフェーヴル、日本の夢を乗せてさあ行け!
外から栗毛の馬体が来たぞー!
日本のオルフェーヴルだーー!!

日本近代競馬の結晶と呼ばれた三冠馬ディープインパクト。
それに続いた三冠馬オルフェーヴル。彼はディープインパクトよりも日本生まれの馬たちの血筋であり、まさに「日本の結晶」と呼ぶにふさわしい馬だった。
今年こそは――。
しかし、日本競馬ファンの誰もが耳を疑うニュースが飛び込んできた。

「遠征時の鞍上が、初出走からずっとコンビだったK.池添からC.スミヨンに乗り替わる」

フランスの競馬を良く知っているスミヨンか、オルフェーヴルを世界で一番知っている池添か。
10年経った今でも語り継がれている、日本競馬最大の謎がこの時生まれた。

前哨戦のフォワ賞は難無く勝利。池添派もこれは行けるのでは…?と思い始める。
だが、10月7日に悲劇は訪れたのである。

レースが始まると、オルフェはいつものように後方へ控える。
最終直線の直前の直線である「フォルス・ストレート」でも落ち着いて走り、よく我慢できていた。

真の最終直線、弾丸の如く突き抜けるオルフェーヴル。後続をグングン引き離し、世界のだれもが「オルフェだな」と確信したその時だった――。

突如として内ラチに向かって大きく斜行しながら大失速
慌ててスミヨンが鞭を入れるも、オルフェは鞭を嫌ってさらに失速
後ろからソレミアが抜き去り、牝馬に滅法弱いオルフェは差し返せず、そのままクビ差で敗れてしまった。

ああ…池添が乗っていれば…
ああ…スミヨンが日本から乗っていれば…

筆者を始めとした、凱旋門の亡霊が大量発生してしまったのは言うまでもない。

クリストファー・スミヨンのやらかし事件簿


ソレミアって誰?


オルフェーヴル……ッ 2着ッ……ッ


2013年はトレヴ(牝馬)に普通にボコボコにされましたとさ。

その他小話

宿敵モンジュー家

エルコンドルパサーを破ったモンジュー。
凱旋門賞とは関係ないが、ウマ娘関連で言うとエアシャカールとも戦っており、鼻息で吹き飛ばすかのように圧勝。
2012年に亡くなってしまうのだが、名種牡馬としても活躍した。

ディープと走ったハリケーンランは彼の子である。まあそこでは結果残せなかったけど。
孫のトレヴは前述のとおり2013年にオルフェをボコして凱旋門賞を獲っただけでなく、2014年もゴルシたちをボコして凱旋門賞を連覇した

また、モンジューの玄孫であるタイトルホルダーが2022年に凱旋門賞に出走。

宿敵の血を宿してフランスのターフを先頭で駆け抜けろ!タイトルホルダー!!


2022年10月3日 追記

タイトルホルダー、11着

※日本勢では最上位


日本から史上最多の4頭が挑戦した2022年の凱旋門賞。
結果は厳しくもすべて2桁順位であった。

当日はずっと雨が降り続いており*3、レース中に雨脚がさらに強くなる場面も。
未曽有の急勾配、激重馬場が、彼らの前に立ちはだかったのであった…。

ただし、最終直線まではタイホくんお得意の逃げがさく裂し、先頭をキープ。
雨と重馬場に消耗し、脚が全く残っていなかったのだが、晴れて馬場が固ければ絶対勝っていた絶対!!凱旋門の亡霊2022



みんなで晴れを祈って日本馬に有利な馬場をつくろう!みんなで晴れを祈って日本馬に有利な馬場をつくろう!みんなで晴れを祈って日本馬に有利な馬場をつくろう!みんなで晴れを祈って日本馬に有利な馬場をつくろう!みんなで晴れを祈って日本馬に有利な馬場をつくろう!


2014年ゴールドシップ


ゴールドシップと言えば、レース入場時に観客席に自らをアピールするファンサービスが非常に有名であるが、フランスの地でも当然のようにアピール。見慣れないお客さんばかりの為か、大変張り切っている様子。

「なんだこいつ…」という空気全開の海外馬もお構いなし。
なおジャスタウェイは無関係を装い、ハープスターは超気まずそうに入場している。

締めにご自慢の走り姿を見せるべく駆け出し、突然のことに大慌てになった海外馬たちもつられて走り出してしまう

結果はレース序盤に他の馬と接触したせいでやる気をなくして14着に終わるものの、フランスの競馬ファンの脳裏に強烈に焼き付いた遠征となった。

な お ト レ ヴ

2016年 日本でも馬券を買えるように

10月2日の凱旋門賞から、日本での海外レース馬券の販売が開始。
フランスは色々めんどくせーなってことで海外への馬券販売を行っていなかったが、JRAや日本競馬ファンの熱に押し切られる形となった。

この年はダービー馬マカヒキが参戦することもあり、日本からの応援票が殺到。
売り上げはフランス国内の倍以上となる41億8599万5100円というアホみたいな数字となり、海外の競馬業界は白目を剥いて卒倒したという。

日本独自の「応援課金」「お布施」という文化をまざまざと見せつけた。

世界よ、これが日本だ。

「ゴルシちゃん主催!人狼は誰だ!?」*4


参加者はゴールドシップナカヤマフェスタ
シリウスシンボリエルコンドルパサー
マンハッタンカフェサトノダイヤモンド
あと何故か巻き込まれたトレーナーである。

そう、このイベントに登場するのは「Make a new track!!」実装時点で実装されていた凱旋門賞出走ウマ娘たち
という事はトレーナーも凱旋門賞出走していた…?

サトノダイヤモンドのファン感謝祭

人狼と同様に、こちらの登場ウマ娘も全員が凱旋門出走ウマ娘。

最初はグー!

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